人魚の
ストーリー




人魚アリスのストーリー
青く深い深い海の底に、サンゴの壁とコハクの窓のお城があります。
そのお城は、人魚姫アリスの住むお城です。
お城には六人の姫がいて、その中でも、とりわけ一番末っこの人魚姫アリスはきれいでした。
肌はまるで薔薇の花びらのようにすきとおり、目は深い海のように青く澄んでいます。
とても美しい声を持ち、その歌声は「人魚姫の中では一番美しい」と海の世界では言われていました。
15歳になったある日、海の上に出る事を許されたアリスは、そこで初めて人間たちに出会います。

人間たちの世界は華やかで素敵でまぶしいものでした。
その中でもひときわ輝いている王子さまを見て一目で恋に落ちました。

アリスが恋に落ちた瞬間、雷雲がとどろき海は大きくうねり初めました。
船はあっという間に傾き、王子は海に投げ出されてしまいました。

アリスは王子を懸命に助け、なんとか陸まで引き上げました。
目を覚まそうとした王子をみて、アリスは「この姿を見られてはいけない」と思い、すぐに海に隠れようとしました。
目を覚ました王子はアリスに話しかけました。
「君が助けてくれたの?」

アリスは、顔が真っ赤になり王子のほうを振り返る事はできませんでした。
そして振り返らずに一目散に海の中に深く潜っていきました。

その夜アリスは眠れませんでした。心臓がドキドキしてとても眠るどころではありませんでした。
初めて恋に落ちたのです。
 
王子の事を想う出すたびに、ドキドキして幸せな気持ちになりました。
 
そしてアリスはとても後悔しました。何も言えなかった自分がとてもつらく感じました。
「あのとき勇気を出して王子と話していれば・・・もしかしたら仲良くなれたのかもしれない」
王子の事を思い出し、毎日ため息をついていました。
 
日に日に王子様への気持ちを大きくていきました。
 
王子が自分の事をどう思ったのか、ずっと気になってしまい、やせていくアリスを見かねた一つ上の姉リリスはアリスに
「西の海の海岸沿いに魔女の家があるから、そこで占ってもらったらいいわ」
 
 
早速アリスは魔女のところへ出かけました。
王子が今私のことをどう思っているのかタロットカードで占ってもらいました。

いつも決まって出るのは「THE MAGISHAN」のカードでした。
タロットカードで王子さまの事を見てもらうとき、人魚は王子さまを近くに感じる事ができて、とても幸せに感じていました。
 
人魚は王子の気持ちが知りたくて、毎日毎日魔女のところに通うようになりました。
ある日魔女はアリスに、こう言いました。
 
魔女「アリス、あなたにタロット占いを教えてあげるから、今夜自分でやってみなさい。」
アリス「私が自分で? できるかしら、無理よ」
 
魔女「大丈夫よ。今夜は満月。月の力もアリスに味方してくれるだろう」

アリス「今夜は満月・・・分かった、やってみるわ」

魔女「このカードを使いなさい。このカードをあげよう。」
そういうと魔女は奥の部屋から、海のように青く深い色のタロットカードを持ってきてくれました。
 
アリス「きれい・・」
 
魔女「いいかい、つらい結果が出ても自分を見失ってはいけないよ。自分の直感を信じなさい。」
 
アリス「わかったわ、ありがとう。」

その満月の夜からアリスは一人でタロット占いを始めました。
毎日カードをめくる度に、より王子を身近に感じていました。

満月の夜、王子の事を思いながらタロット占いをしている時間が、アリスはとても幸せでした。
 
 
そんなある満月の夜タロット占いをしていると「THE TOWER」のカードがでました。
アリスの中でざわざわと胸騒ぎがしました。

そのカードがでた日から頻繁に満月の夜に占うと「THE TOWER」のカードがでてきました。
アリスは、いてもたってもいられなくなり魔女の元へ行きました。

アリス「王子になにかあったのかもしれない! すぐに陸に上がりたいから私に足をください。お願いします!」

魔女はじっとアリスを見つめながら

魔女「その願いの代償は、その美しい声をいただくけどいいかい?」

アリス「声?この声が出なくなるの?・・・・・王子に会いにいけるならいいわ・・・」

魔女「王子と結婚できなければ、人魚には戻れないよ。それでもいいかい?」

アリス「・・・・それでも、かまわないわ」


アリスは自分の美しい声と引き換えに、足を得ました。新しい足で歩くとナイフで切られるような鋭い痛みがアリスを襲いました。
それでも、王子に会いにいけるということがアリスには嬉しかったのです。
王子のいるお城は海沿いに建っていました。

高台にあるお城に続く階段は長く、アリスは痛みに耐えながらも、心を躍らせていました。

アリス「・・・やっと王子にあえる・・」
お城に近づくほど、お祭りのような歓声が上がり、にぎやかな活気に包まれていました。
角を曲がれば、お城の正面に出られます。
もう少しで王子に会える嬉しさで、アリスは足の痛さも忘れて小走りになりました。

アリス「・・・王子・・・!」

お城の正面に出たアリスは、呆然と立ち止まりました。

なんとお城では、王子と新しい妃の結婚式が盛大に行われていたのです。
民衆は大盛り上がりで、お祝いの音楽が街中に響き渡っていました。
 
 
王子は、美しい妃と一緒にお城のバルコニーから民衆に手を振っています。
王子の顔には笑みがこぼれ、とても幸せそうに見えました。

アリスは、王子の顔が見れた嬉しさと、この結婚式のショックからしばらくその場を動けずにいました。
そのとき民衆の一人の男がアリスに話しかけました。

男「きれいなお妃様だろう! 嵐の時に王子を海で助けた命の恩人らしい。君も結婚式のお祝いに来たの?」

アリス「嵐のときに王子を助けた・・・?」

男はすぐに他の民衆にまぎれて消えてしまいました。
アリスは心臓がドキドキしました。

アリス(こころの中で)「嵐のときに王子を助けたのは私・・」
幸せそうにバルコニーから手を振る2人を下から見つめ、アリスは激しい感情の渦の中にいました。

アリスはそのまま走って海を目指しました。
海に入っても足は、戻らず、海にもぐる事もできません。

声を引き換えにしたアリスは、声を上げて泣く事もできず、大きな青い目から大粒の涙がたくさんこぼれました。
アリスは海を見つめ、その場に座り込みました。

海からアリスの様子を見ていた姉リリスは魔女のところに行き、アリスの足を元通りにしてほしいと懇願しました。

魔女はリリスの銀色の美しい髪を触りながら、言いました。
魔女「お前の綺麗な髪をくれるなら、一つだけある方法を教えよう。」

姉リリス「・・・わかったわ。」
リリスは持っていたナイフで自分の髪をばっさりと切り、魔女に渡しました。

魔女「・・いいだろう。アリスの足を元の人魚に戻す方法を教えよう。方法は、一つだけ『王子を殺して、その血を足に塗れば人魚に戻れる』」

姉リリス「王子を殺して・・・血を足に塗ればいいのね・・」

魔女「王子を殺すのは、アリス本人でなければ効果はないよ。」

姉リリス「王子はあの子を裏切った。アリスに伝えてきます。」
 
 
冷たく暗くなった海岸沿いでアリスは一人で泣いていました。
そんなアリスのそばに海から姉のリリスが現れました。

姉リリス「アリス・・・」

姉リリスをみたアリスの目からは、よりたくさんの大粒の涙が次々に流れました。
アリスは姉リリスに抱きより、激しく泣きました。

声も出せないアリスに姉リリスは、アリスをとても可哀想と感じました。

姉リリスはアリスに魔女から聞いた人魚に戻れる方法を教えました。
アリスは姉リリスの話をじっと聞き入りました。
話し終わった姉リリスに、アリスは首を横に振りました。

姉リリス「私も協力するから」

アリスはまた大きく首を横に振りました。

姉リリス「アリス、お願いだから」

姉リリスは一生懸命アリスを説得しましたが、アリスは目に涙をためて優しく微笑むだけで、首を縦には振りませんでした。

日が沈み海も少しづつ周りは、暗くなり、月明かりが海を照らし始めました。

アリスは、自分の身体が消えていくような感覚になり、自分の手を見ると半分透明になっていました。

姉リリス「アリス!消えないで」

姉リリスも目からも大粒の涙があふれました。

アリスの身体はどんどん消えていき、消えたところから泡になってはじけていきました。

月から天使が舞い降りてアリスに言いました。

天使「ようこそ、空気の精の世界へ。あなたは空気の精になって、世界中の恋人たちを見守るのですよ。」

アリスは幸せそうな顔で、泡に溶けていきました。

姉リリスは残ったアリスの泡を手ですくい、海に放ちました。

そのときに流した姉リリスの涙は、海に落ちやがて真珠となりました。
Category: Product #: Regular price:$ (Sale ends ) Available from: Condition: Good ! Order now!
Reviewed by on. Rating: